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自身が携わった製品が街を走る喜び!金型設計の難しさとやりがいとは 自身が携わった製品が街を走る喜び!金型設計の難しさとやりがいとは

(2017.3.22更新)エスバンス株式会社 生産部 設計グループ長 兼 第4設計チームヘッド 川口 将生様 設計グループ 第1設計チームヘッド 尾崎 昌弘様
インタビュー
ショールームにて

エスバンス株式会社 生産部 設計グループ長 兼 第4設計チームヘッド 川口 将生様(右)設計グループ 第1設計チームヘッド 尾崎 昌弘様(左)

―― まず川口さんにお話を伺います。御社の事業内容について教えてください。


川口さん:弊社はプラスチック成型金型の設計・製造・販売を行っています。自動車部品の大物、中物の金型を中心に、医療関係、日用雑貨などの金型も手掛けています。この工場ではほぼ100%、自動車部品の金型を製作しています。 具体的には、運転席前のインストルメントパネル(インパネ)、ボンネット下のフロントバンパー、車体後部のリアバンパー、ドア下のマットガード、ドアや天井の内張など、目につく部品の金型を数多く作っています。 金型のほかにも、自社開発商品として耐久性・メンテナンス性に優れた「バルブゲートシステム」の販売も行っており、年々その信頼の輪が広がっています。



―― 大物の金型の製作にはどのような難しさがあるでしょうか。


川口さん:特に外装部品は、そのものが意匠となります。その意匠が崩れないように、部品に微妙なくぼみなどがでないように設計するのが難しいところです。また、設計というと部屋にこもって一生懸命図面を描いているイメージがあると思いますが、弊社の設計技術者は、お客様や製造現場の方々、また弊社の現場技術者と話をして、連携を取り合って、生産しやすく故障しにくいものを作ることが難しさであり、やりがいを感じられるところでもあります。
また、最近では品質向上に対する要望が高くなっています。昔は部品と部品の隙間が2~3mmほどありましたが、最近は隙間ゼロが基準となっています。金属と接する部品などはその辺の作りこみが難しいですね。解析を行い、それに基づいて作りこんでいくのですが、実際に部品を製造した時に、微妙な変形や歪みが出てきます。それをこれまでの経験値を活かして予測しながら金型を仕上げていきます。


―― 業績も好調とお伺いしていますが、御社の強みとは何なのでしょうか。


川口さん:お客様の要望をしっかりとお聞きし、その要望を聞き入れて金型に反映させ、故障が少なく長持ちする品質の高い金型を最初の提案から実現できる技術力を評価して頂いていると思います。また、長年様々なメーカーと取引してきましたので、その実績も評価して頂いていると思います。
尾崎さん:私は自動車メーカーの中に入ってインパネやバンパーの金型成立性の検討から製品設計に加わっています。お客様からは金型成立性の検討・要望ができることと金型品質の高さを評価して頂いていると思います。
川口さん:彼はお客様から「先生」と呼ばれていたのですよ(笑)。


―― 「先生」ですか!どのような経緯で呼ばれるようになられたのでしょうか。


尾崎さん:実は5年前に自動車のキャビスライド部品の金型を作ったのですが、この部品は結構樹脂圧を受けやすいため、幅を広げて高さを上げるなど、キャビスライド自体が倒れないように自分なりに工夫を凝らして提案し、それが採用されました。私が設計した金型によって、何年たっても傷むことのないキャビスライドで量産させることができました。その金型を作った後、別の金型に取り掛かったのですが、それを担当するお客様から「このキャビスライドのように作ってほしい。できるか君?」と言われました。 それで「実はそれを作ったのは私でして…。今回はそれ以上のことをしたいと思います。」とお答えしたことがきっかけだったと思います。



―― 御社の技術力が高い理由を教えてください。


川口さん:どんな製品でも不具合は必ず出ます。その不具合をすぐに直していこうと動いています。また、小手先で直すこともできるのですが、結局長持ちしない製品になってしまうので、根本的なところから考えて不具合を直しています。その辺の発想や動きが当社の今の技術力のベースになっていると思います。 金型は一品一様ですので、まったく同じものがなく、その時その時で問題が出てきます。その原因を突き詰めて、すぐに対応して得たノウハウは、必ず次の問題を解決するのに活きてくるのです。 また、弊社にも成型機があってそれで実際に製品を作ってチェックを行いますが、細かな不具合はお客様の機械を使ってみないと出てきません。弊社ではお客様のところで発生した問題を拾って迅速に対応しています。
尾崎さん:また、こうしたノウハウをまとめて、現場で先輩が新人に継承しています。 設計をする中で、100~200ページほどの規格書を作成しますが、お客様からの要望で変更したものを教育にも使っています。他に3D設計でもマニュアル化してノウハウの共有を図っています。


―― 御社の社風について、どのような社風だとお感じですか。


川口さん:自律性があるところでしょうか。弊社は常にお客様の立場に立って考えていくことを意識しています。一品一様でお客様からのデータの成立性を検討し、成立性だけじゃなく、品質を維持して量産できるかをお客様と話し合って実現を目指す。そうしたお客様の立場で金型を作るという考えを一人ひとりがしっかりと持って仕事に取り組んでいることがそうした社風につながっているのだと思います。


―― 海外へも積極的に展開しているとのことですが、今後の展望をお聞かせください。


川口さん:弊社は現在、国内すべての自動車メーカーと取引していますが、今後は海外メーカーとも更に取引を拡大していきたいと考えています。海外で提携している金型企業もあるのでそうしたネットワークを活用していきたいですね。


―― 続いて、尾崎さんにお話を伺います。現在、携わっておられる製品・お仕事について教えてください。


尾崎さん:自動車のインパネやバンパーなど大物金型の設計を行っています。主にインパネをメインに仕事をしています。5年ほど前の2年間は大手自動車メーカーの中で、ゲストエンジニアとして働きました。製品設計や成立性検討を行う他にも、作りやすく低価格の金型を作るための形状提案や小型の加工機で製作できるように分割した金型の検討なども行っていました。


―― 御社で製品開発に携わる技術者のやりがいは何でしょうか。


尾崎さん:ある程度個人に任せてもらえるところでしょうか。当然、初めのうちは先輩から教えてもらうことも多いですが、個人的には設計をやる以上、任せてもらい、「自分がこれを作った」と言えるのが設計技術者のやりがいだと思います。私も新人時代は補助からスタートしましたが、早く任せてもらいたかったので、半年ぐらいで担当を持たせてほしいと要望しました。担当になれば図面に担当者の名前を記載します。自分の名前が書かれた図面がお客様のところにどんどん広まっていくのが嬉しかったことを覚えています。 自分の設計をもとに加工や組立のスタッフが金型を作っていきます。設計のこだわりを伝えて、みんなを動かして自分の金型を作っていくことにも大きなやりがいを感じます。


仲の良いお2人
ショールーム


―― 一番思い出に残っている開発製品は何ですか。


尾崎さん:最初に担当したフロントバンパーの仕事が印象に残っています。同じ車に2種類のバンパーが必要で、その2つを同時に設計しました。バンパーの設計は初めてだったので何をしていいのか分かりませんでしたが、先輩にいろいろ聞いて何とか完成させました。ただ、金型を作っても、その車がすぐに街を走るわけではありません。その仕事のことをすっかり忘れかけた頃に、自分が担当したバンパーをつけた車を街で見かけました。「あれは私が作ったバンパーだ」とすごく嬉しかったですね。 家族や友人にも何を作っているかということを説明しやすい仕事です。大物金型なので目にすることもできます。昔から分かりやすい仕事をしたいと思っていたので、弊社の設計の仕事にはとてもやりがいを感じています。
川口さん:設計だけじゃなくて、加工や組立のスタッフもみんなが「自分が作った」という思いを持っています。会社で新しく営業車を購入したら、みんなが集まって来て、バンパーやインパネを「ここがどうだとか」言いながら触っています(笑)。


―― 将来の夢や目標についてお教えください。


尾崎さん:働くからには、トップを目指したいとは思っていますが、それより今は自分の知名度を上げたいと思っています。「自動車のインパネの金型といえば尾崎だ」と言われるくらいに、この仕事ではだれにも負けない存在となることで、この業界で自分が生きてきた証を残すことが目標です。
長く金型設計に携わってきたため、声をかけて頂く機会も増えてきました。これからも知名度を上げて、後輩たちが後に続き、私を超えて成長してくれることが今の夢です。
また、現在3D設計も行っているので、弊社独自のシステムを作り上げて、金型設計を半自動化できるようにすることも目標としています。


―― どのような方と一緒に働きたいと思われますか。


川口さん:自分から取り組んで、何かをものにする仲間と仕事がしたいですね。設計の仕事は半分以上が打ち合わせや段取りになるので、みんなでやり方を共有して、同じ考え方を持って仕事ができる仲間に来てもらえたらいいなと思っています。若い頃はがむしゃらに一生懸命仕事に取り組める方が良いですね。私も若い頃の経験が今に生きていると思っていますから。
尾崎さん:自分の考え方をしっかりと持っている人と働きたいですね。私の意見を素直に聞いてくれる人もいいけれど、例え間違っていても「自分の意見はこうです」とはっきりと言える人と仕事がしたいですね。 また、「私はこれだけは絶対に負けない」「私に任せたら一番いい設計を作る」そんな自信を持てる方も大歓迎です。


―― 本日は、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。