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高砂から世界へ!巨大プラントの心臓部を作る仕事の魅力とは 高砂から世界へ!巨大プラントの心臓部を作る仕事の魅力とは

(2017.6.21更新)株式会社神戸製鋼所 機械事業部門 回転機本部 回転機技術部長 栗岡義紀様
インタビュー
入口にて

株式会社神戸製鋼所 機械事業部門 回転機本部 回転機技術部長 栗岡義紀様

―― 現在、携わっておられる製品と、現役のエンジニアの頃のお仕事について教えてください。


現在、私の部門が担当しているのは、非汎用の圧縮機です。大型でそのほとんどが特殊なプロセスガスを圧縮する用途に使われています。
オイル&ガスと言われる石油業界が主な市場です。もともと海外はアジアを中心に輸出していましたが、2000年位からオイル&ガスの本場であるアメリカ市場へスクリュ圧縮機と言う機種を中心に本格的に進出することになりました。 ただ、アメリカに進出するには、まずはアメリカローカルのコードやレギュレーションに合わせた製品を作る必要があり、また、アメリカ企業相手のビジネスをスムーズに行うために、現地で協力会社を見つけて、最終的には神戸製鋼所の100%子会社としました。この会社を見つけてから設立まで私も参加し、2001年から約8年間現地に駐在。スクリュ圧縮機の拡販に取り組み、少しずつ世界中に当社の製品が知られるようになり、その後右肩上がりで売り上げを伸ばしてきました。 私たちの機械事業が狙うターゲットはオイル&ガスの業界であり、その中心はアメリカ南部のヒューストン。そこに営業拠点を置いて、生産拠点は買収した会社のあったカリフォルニアに置きました。私たちの回転機事業は西海岸とヒューストンでビジネスを展開しています。

アメリカに進出した当初は誰もKOBELCOの名前を知りませんでした。開発した機械を持って様々な会社を訪問し、製品を説明して回りました。今ではKOBELCOの名前は業界内では一つのメーカーとして認知されるようになりました。後に続いたみなさんも活動を続けてアメリカではかなり名前を知られています。苦労もありましたが、非常に面白い時代でした。帰国してからは、スクリュ室の室長を任され、今は全機種を見る回転機技術部長として働いています。


―― グローバルで見ても、機械事業部門の製品の評価・シェアは非常に高いと認識しておりますが、御社が選ばれている理由は何でしょうか。


当社は3機種全てのタイプの圧縮機を持っており、そのようなメーカは世界的にも殆どありません。よって、お客様の用途に応じ、最適な圧縮機を提案する事が出来ます。例えばスクリュ圧縮機の場合、アメリカではレシプロ圧縮機が普及していましたが、レシプロには弱点もありました。一方、スクリュ圧縮機のメーカーはアメリカでは数が少なく、当社は高圧や大型において他社の2倍のレンジを実現できる技術力がありました。そうした圧縮機をお客様の所に入れていくうちに「良い機械だ」という評価がどんどん広がっていったのです。勝てる商品をきちんとPRして、お客様にしっかりと納品していく。あるいはFEEDと呼ばれる最初の段階から我々の仕様を仕込んで売り込みをかけてきたことが成功した要因です。


―― 神戸製鋼所という社名から鉄鋼メーカーのイメージが強いですが、機械事業部門をはじめ他の事業部門でも、様々な事業を展開しておられますよね。


事業を安定的かつ継続的に行っていくためには事業の柱を多く持つことが必要だと思っています。オイル&ガスの分野でも原油が下落し、クルマはハイブリッドや電気自動車へと移行していくなかで、エネルギーの消費も少なくなってきています。 オイル&ガスの需要は今までのような右肩上がりの伸びがなだらかになっています。
今後オイル&ガスの市場ボリュームがどうなっていくのか、そういった中で、この分野だけに依存しない次の事業の柱を探す活動も行っています。LNGや水素などの違う分野に参入し、事業の安定感を作り出していくことを大きな狙いとしています。
現在、営業や技術開発本部と一緒に様々な情報やデータベースを活用して調査を行い、新規事業を探すプロジェクトに取り組んでいます。 例えば、今は環境が問題になっているから、環境がらみで圧縮機が必要になる分野は何かということに取り組んでいます。そこで見つかったニーズがあれば、お客さまの所に伺って話を聞いてくる。実際に注文が来たら、もう少し詳しく調べて、実績ができれば、別のお客様にプレゼンしに行く。 あるいは、この国にはこんな環境の問題があって、圧縮機がこのプロセスに必要だと分かれば、このレギュレーションは他の国にもあるのではないかと考えて調査する。新たな事業の柱を作るために、そんな活動を行っています。



―― 貴社の製品は非汎用(=特注品)であるが故に、技術の習得は容易ではないと思うのですが、研修等はされているのでしょうか。


はい。我々回転機が扱っているのは非汎用の製品です。機械の製作に際して、お客様から仕様書が送られてきます。多いものでは1万ページに及ぶものもあり、数百ページ、数千ページの仕様書を読み、その通りにきっちりと製品を作る非常に重要な任務を担っています。ですから、知見と経験に加え、お客様に対して図面や仕様書を提出し、やり取りしながらプロジェクトを遂行するスキルを身に付けていかなければなりません。一人前になるには最低5~6年はかかる仕事です。 キャリア採用の方に早く戦力となっていただくために、教育マニュアルや勉強会などの教育体制をここ数年で整備し、今では機種ごとのコースやカリキュラムを用意し、内容も常にアップデートしています。 技術の基礎となる「材料力学」「流体力学」「熱力学」「機械力学」の四力については大学で学んだレベルで十分です。それらを圧縮機に応用するスキルは教育研修を通じて学んでいただけます。更に実践的な流体力学や構造力学などは全社で行われる要素技術研修をカリキュラムに取り入れています。その他、社内での英語研修や外部研修への参加も行っています。


―― 技術はもちろんですが、そのほかにもキャリア採用に求めている能力はございますか。


キャリア採用で重視しているのは、理工学系(機械工学)の基礎やコミュニケーション力、交渉力ですね。プロジェクトは各セクションからメンバーが集められてチームを組んで進めていくのでコミュニケーション力が大切です。さらに海外のお客様相手の交渉力も重要なスキルとなっています。


―― 神戸製鋼所で働くやりがいや魅力について教えてください。


圧縮機は適用分野が広く、様々な分野で使われています。当社はスクリュ圧縮機、ターボ圧縮機、レシプロ圧縮機の3機種を手掛ける世界で唯一の圧縮機の総合メーカーです。また、機種・モデルによっては、世界シェアの半分近く、半分以上を占めているものもあります。開発や設計もShellやExxonMobilといったメジャーの会社と直接やり取りを行い、世界を見ながらトップを走る仕事ができるのが大きな魅力の一つです。「会社は高砂にありますが、お客様や働く場所は世界だぞ」とメンバーには話しています。
3種類の圧縮機にはそれぞれ特徴と適性があり、当社は全てを手掛けているので、お客様の要求仕様に合わせて一番適した機種を提案することができます。さらに、ターボとスクリュを比較したいとのご要望にも、私たちはイニシャル、ランニング、メンテナンスコストなどをすべて算出して提案することができるのです。 お客様が新規のプロセスを計画する際の、最初の選択肢となるためには、私たちがFEEDと呼んでいる事前の段階で客先仕様に我々が検討して入り込んでおくことが重要で、これは世界のトップメーカーでないとできないことだと思います。
また、常に将来のキャリアパスを意識して目の前の仕事に取り組むことも、働くやりがいに繋がっていると思います。今後どんなエンジニアになりたいか、どんな仕事をしたいのかを上司と部下で会話しており、こんな風に育ってほしい、こんな風になれるんだという思いと将来像も共有するように管理職にお願いしています。10年後、30年後の会社や事業を描き、その中でエンジニアはどんなことができるか、どんなことをしたいかといったことをよく話すようお願いしています。製品がどうやったらもっと世界に売れるか考える、要素技術を極めるなど、それぞれが目標を持って日々の仕事に取り組めるようにする。そうすれば大きな仕事が来た時に「やりたい」といった積極性が出てくるのだと思います。事業に対してビジョンを持ってもらう、究極はプロとしての意識を持ってもらうことが重要だと思います。


―― 御社の社風について、どのような社風だとお感じですか。


積極的に若手に仕事を任せ、議論も自由闊達にできる社風です。役職ではなく、「さん」づけで呼び合っています。2年前からはメール本文での呼び名もすべて「さん」づけで統一されています。教育体制も整っていますが、やはりOJTで学んでいくことも大いにあります。管理職やリーダーのもとで、一つひとつ聞きながら仕事を覚えていくことが力になります。非汎用の機械はマニュアルを見て出来る仕事ではありません。お客様が変われば、要望も変わってきます。アメリカ・アジア・中東のお客様にはそれぞれ特性があり、それは経験を積んでいくことでしか理解できないこともあります。
例え失敗しても、上司が責任を持ってフォローする、大きなことになれば私が出ていく。最後は上の人が責任を持って対応する。緊張感を持ちながらも、若手が安心して納得してチャレンジできる環境をつくることが大切だと考えています。


会議室の棚には製品がずらり
取材中


―― 機械事業部門全体で、また栗岡部長ご自身での目標は何でしょうか。


世界の中で、弊社の圧縮機事業は、マラソンに例えるなら第2グループの先頭位の事業規模です。これを2020年には第1グループの事業規模に追い付く目標を立てています。そのために、現在世界に7拠点展開しているのをさらに増やす。あるいは拠点そのものの事業を大きくすることが重要になってくると思います。それをどう進めていくのかといった議論を行っているところです。
これまで圧縮機の技術にずっと携わってきました。その圧縮をもっと世界に広めていくことが私の目標です。世界にはまだ我々が出ていけていない市場が残っています。こういった市場でもKOBELCO圧縮機の名前が売れている状態にしたいと思っています。例えば、アフリカなどはまだ入り切れていません。南米でもブラジルには入っていますが、アルゼンチンなどにはほとんど売れていない。こうした市場にも参入して、全世界をくまなくカバーできる状況を作りたい。それができれば、後に続く人が来ても、うまく回っていく仕組みができると考えています。


―― ワークライフバランスの充実にも積極的に取り組まれていますよね。


私は1991年入社で26年目を迎えました。私も若い頃はよく残業もしていました。しかし、駐在していたアメリカでは、みんな朝早く来て、定時になればスパッと帰ります。定時に仕事を終えるために、昼間の就業時間に集中して頑張って仕事をしていました。日本に帰国してからは、いかに効率的に仕事を進めるかを考えて、昼間は集中して仕事をするようになり、早く退社するようになりました。日本ももっと働く人が意識を変えていかないといけないと思います。 また、子どもの送り迎えなど、どうしても残業できない状況の方もおられます。私の世代は、家庭は妻に任せきりでしたが、今はそうではありません。様々な事情をお持ちの方にも働きやすい社風や職場を作ることが本来の働き方だと思います。 子育てなどもそうですが、グローバル化を進める中で多国籍化にも対応が必要です。技術部にも外国人の方が多く働いています。ダイバーシティの面でもきちんと対応できるように全社をあげて取り組んでいます。社員だけでなく、来客頂くお客様のためにも祈祷室を設置したのもその一環です。


―― 貴社を志望される方へのメッセージをお願い致します。


エンジニアとして、大きな一つのパッケージを一人で見ることになります。実際に実物を見ていただくと、驚くほど大きな機械です。一人で担当する大きさとしては、ほぼ限界のサイズだと思います。車のエンジンのある一部分や、大型のガスタービンでも要素の一部だけ、などのご経験をお持ちの方が多く、全体を見てきた方は少ない。私たちの手掛ける圧縮機はお客様と話をして、自分で説明しながら仕事を進めます。一台何億円もする大きな機械を自分が中心になって担当し、お客様に納めるのです。その機械に実際ガスが入って動き始める姿を見た時には、本当に感動しますよ。自分が担当した圧縮機が巨大なプラントの中で動いている。一旦止まったら、何百億もの損失が出るプラントの心臓部を自分が納めたんだという大きな充実感を味わうことができます。 一つの仕事で評判が上がれば、「あのエンジニアにやらせてくれ」と会社ではなく個人の指名で仕事が来るときもあります。「あの人は元気にしているか」「あの人が担当した機械なら大丈夫だ」と世界のプラント業界に個人の名前が知れ渡るのです。世界中にある一つひとつの圧縮機の顔になれるのです。そんなエンジニア冥利に尽きる仕事でのやりがいや、達成感を世界中で味わえる仕事はなかなかないと思います。 日本にいながらも、世界を相手にトップメーカーと一員として働きたい。そんな思いを持った方なら、ぜひ神戸製鋼所にご応募ください。


―― 本日は、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。